インドの人に、「インドにカーストはありますか」と聞くと、必ず「昔、あったけれども今はありません。田舎には残っています」という答えが返ってきます。しかし、現在でもカースト制によって職業が決められています。職業によって階級差別がありますが、我々外国人はそれにはあまり触れられません。
私が活動しているのは、インドの北のほうです。最近は新聞などでインドも豊かになった、IT産業も盛んだから、もう応援するような国じゃないと言われます。しかし、それはほんの一握りの人たちが裕福になっただけで、私が行っているところは違います。
私が何故こういう活動をやっているかというと、まずは僧侶であることと、そしてたくさんの学校に行けない貧困な家庭の子どもたちを目の前にしたからです。
平成2年インドに行った時、子どもたちに贈り物をしたんですね。500人くらい来たでしょうか。でも、その時、子どもたちは菓子果物をもらってよろこんでいるが、本当にこれでよかったのかと思いました。菓子果物をあげて、よろこんでいる自分が恥ずかしかったのです。「ようし、この子たちにもっと良いものをあげよう。それは教育だ」と思いました。それを始めたのが平成4年です。
(第三分科会「平和・人権・憲法」講演(2005年)資料より編集して掲載)