坐禅用心記(ざぜんようじんき)/瑩山
正和元(1312)年、瑩山禅師は能登(石川県)に永光寺(ようこうじ)を開き、そこで『坐禅用心記』を撰述しました。坐禅の心得を説いた指導書で、『普勧坐禅儀』とともに参禅する者にとって欠くことのできない教説です。坐禅の意義から、参禅の時の呼吸や姿勢、眼の開き方、手の置き方など、さらには食事や衣服などの注意にもふれられ、細かく丁寧に示されています。その全文を掲載いたします。『坐禅用心記』夫れ坐禅は直に人をして心地を開明し、本分に安住せしむ。是を本来の面目を露すと名づけ、亦本地の風光を現わすと名づく。身心倶に脱落し、坐臥同じく遠離す。故に不思善不思悪、能く凡聖を超越し、生仏の辺際を離却す。故に万事を休...