兵庫県南部を震源として1995年(平成7年)1月17日午前5時46分に発生した地震は甚大な被害を出した。電気、ガスなどのライフラインは止まり、ラジオからの情報で兵庫県を震源とする地震であったことを確認した。ライフラインは地域によっては昼頃に復旧したところもあったが、それが断線した電線やガス漏れに反応して大火災が起こることになる。
方丈さんの寺は柱が傾く被害が出たけれど、当時、市の仏教会会長の任期中であり、留守は奥さんに任せ、原付スクーターで市内の宗派関係ない数十の寺院の被害状況把握を優先した。全壊、半壊する寺院を目の当たりにした。しかし、立ち止まってはいられない。前例のない大震災のただ中で、動き続けなければいけなかった。
方丈さん多くの知人から状況を心配されていた中で、ある一人の友人からボランティア活動についての相談を早い段階で受けている。有馬実成氏だ。彼は曹洞宗国際ボランティア会を取り仕切っていた。そうして現状を把握した有馬さんは全国1万2千カ寺の曹洞宗寺院に兵庫県南部地震の義援金を呼びかける。
曹洞宗国際ボランティア会は現在は公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(略称:SVA)といい、曹洞宗色を抜いているけれど、当時、「曹洞宗国際ボランティア会」から義援金の振込用紙が全国各地の寺院に届いたため、「これは曹洞宗が呼びかけている義援金」だと勘違いして払った寺院も多いと方丈さんは言う。
「曹洞宗国際ボランティア会」という名称だったけれど、「曹洞宗」が組織するボランティア団体ではなかった。要するに、上手いことやった訳だ。
その後、曹洞宗色を抜いて、名称も変えて、という流れは批判的な内圧からも仕方なかったことだということも教訓として残しておきたい。
曹洞宗寺院の被災状況
宗務庁現地調査の結果、兵庫県第一宗務所(三輪昌伸所長)の第一・第二教区、大阪府宗務所(前野珪三所長)の第五・第六教区における曹洞宗寺院の被災状況は次の通り。
(※抜粋)大宝寺(水野梅秀住職、宝塚市)=本堂柱傾斜、塀全壊(リンク先より)・兵庫県南部地震特報5『中外日報』平成7年1月28日付(25259号)12-16面
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