大量調理は少量調理とさまざまな条件が異なるため、少量調理にはない物理的、調理科学的な現象が起こります。
たとえば、大量調理で煮物をすると、煮汁が少ないために加熱ムラができやすいほか、食材の重みでつぶれやすくなること、攪拌が必要であることが重なり、煮くずれしやすくなります。
大量調理は使う食材量や調味料の量に気を付けることが重要で、大量調理は食材に均一に火が入りにくいので、適量で調理すること必要です。
・炒め物は大量調理には適していません。炒め物は、少量調理のほうが高温短時間でおいしく作れます。
大量調理に使う調理釜などの調理器具は熱容量が低いため、大量の食材を入れて炒め物をすると、加熱に時間がかかってしまいます。低温で長時間食材を炒めるため、野菜から放出された水分によって蒸し焼きされた状態になってしまいます。
・一般に大量調理は少量の調理よりも水分蒸発量が少なくなっています。
・早めに和えると水っぽくなってしまうので、和え物は供食の直前に調味液と和えます。
野菜はゆでることで細胞膜の半透性が失われ、調味液が入り込みやすくなっています。一方、野菜は調味液が入ってくることで水分が出やすくなるのでり、和え物は全体的に水っぽくなってしまいます。
和え物をする際は、ゆでた野菜のしぼり加減にあわせて調味液の割合を決め、供食直前に調味を行います。
・大量に煮物をすると、煮汁が少ないため煮くずれしやすいです。
大量調理は少量調理より蒸発率が低いため、煮汁は少量になりがちです。しかし、煮汁が少ないと、火の通り加減や味付けにむらができやすく、攪拌する必要が出てくるので、つぶれやすくなります。さらに食材の重みが影響して、煮くずれしやすくなります。