調理と香りについて

典座教訓の実践/調理理論

『諸々の色かたち・音声・味・香り・触れられるものは、人々をすっかり酔わせるものである。これらのものに対する欲望を慎んで、定められた時に、朝食を得るために村に入れよ。

そうして修行僧は、定められた時に施しの食物を得たならば、ひとり退いて、ひそかに坐れよ。自己を制して、内に顧みて思い、心を外に放ってはならぬ。』
(スッタニパータ【第2 小なる章】14、ダンミカ 387偈、388偈)

スッタニパータはお釈迦様の言葉をまとめた書物として確認されるもので最古に位置づけられています。その中で食べ物の香りについて、人々をすっかり酔わせるものとして紹介されています。ただ、その香りに対する欲望を慎むことを説いています。

生きものは香りに引き付けられるということは、一つの真実なのだと思いますが、香りとは一体どういったものなのでしょうか??
ここでは、食べ物の香りについて、その正体を見て行こうと思います。

・パンの好ましい香りの主成分には「エステル」があります。イースト(パン酵母)は材料に含まれる糖質を栄養分として、エステル、炭酸ガスなどの香気成分をつくり出し、焼き上がり時に香りを放ちます。

・みそには、においを抑える効果があります。魚をみそ漬にすると生臭みが緩和されるのは、みそが魚のにおい成分であるトリメチルアミンを吸着するためです。

・ご飯の焦げの香りは、アミノカルボニル反応で生じます。アミノカルボニル反応とは、糖とアミノ酸やたんぱく質が反応することで、褐変化したり、香り成分を発することです。

・メイラード反応(アミノカルボニル反応)は、糖とアミノ酸が結合することによって、食べ物が茶色くなったり、いい香りになったりする現象のこと。常温でも起こります。

・カラメル反応(カラメル化反応)は、糖が加熱されることによって、食べ物が茶色くなったり、香ばしいにおいが生じたりする現象のことです。100℃以上になると起こり、160℃前後に加熱すると褐変します。

・にんにくや、生姜、みょうがなどの香辛野菜の香りは、食欲を増進させます。

今回、まとめた食べ物の香り以外にも、もっともっと情報はあると思います。あなたの身の回りでも、どのような食べ物の香りがあるのか、意識する切っ掛けになれば嬉しいです。

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