余語先生の「人生のとらえ方」がよく現れているエピソードを著書「従容録(地湧社)」から抜粋して、引用しましょう。
いつか、長崎に行ったときに、運転してくれた人が、故郷を出てからの苦労話をずうっと綿々していました。私(余語)は、後ろの座席で聞いていたのですが、1時間ぐらいで目的地に着いたので、最後に「あんた、そういうことが色々あったんで退屈せんですんだんじゃ」と言ったら、(その運転手は)黙ってしまいました。お互いさまも、何もなかったら暇で困るでしょう。いろいろなことがあって、楽しくても苦しくても、それでいいのです。それを、ぶつぶつと言うことはない。妄想は死ぬまでなくなりゃせんから、余計なことを考えないほうがよろしい。
きっと、余語先生は、この人(運転手)には「温かい、慰めの言葉をかける」よりは「言い放つ」ほうがいいと直感的に思ったのでしょう。苦労された方に対して、なかなか言い放てる言葉ではありません。(リンク先より)